視覚障がい者のためのファッションアドバイスサービス/モニター体験報告。

INNOVATION

萬LINK株式会社が視覚障がい者に向けたファッションアドバイス事業を2021年より本格始動しました。

弊社が提案するオンラインコーデ代行と、買い物同行の2つのサービスをモニターとしてお客様にご参加いただきました。お客様のお声と共に体験をレポートします。


クライアント情報

 澤田理絵様(ソプラノ歌手)以下ご本人による自己紹介。
お洒落とショッピング、グルメとブラインドテニスが大好きな40代。
視力は、光がわかるくらい程度で、色や輪郭などは見えません。
高校生と大学生の娘の母。
自分らしいファッションを日々探求中。
娘からのファッションアドバイスに助けられることもありますが、やはり世代ギャップがあるので、
大きなクエスチョンが浮かぶこともしばしばです。

以前から、私たちの目となり鏡となってくれるファッション関連のサービスがあればいいのにと思っていたところに、
萬linkが主催する視覚障がい者のためのファッションアドバイスサービスのお話を聞き、
大喜びでモニターに参加させていただくことにしました。



ー 視覚障がい者のためのファッションアドバイスとは? ー

オシャレに興味はあるけれど素敵なお店やトレンドを知る手がかりが少ないのが視覚障がい者のファッション分野における現状です。
そしてまた、コロナ禍により買い物をすることが以前にもましてハードルが高くなりました。アルコール消毒の徹底と言えども、その在りかを知ることも困難です。自動精算機の導入は視覚障がい者にとっては不便な状況と言えます。
そこで昨今、一般的に注目されつつある、パーソナルスタイリストによるファッションアドバイス(買い物同行やクローゼット見直しなど)を視覚障がい者の方々に広く認知してもらうことで、ショッピングの楽しみを味わっていただける機会作りができるのではないかと考え萬LINK株式会社では、現役のファッションデザイナーがプロの目線で、お客様に合ったスタイリングとニーズに応えてお買い物同行と買い物同行は必要ないけれど、ファッションのアドバイスが必要だという方に向けたオンラインコーディネート代行の二つのサービスを提供する取り組みを行っています。

このようなサービスの存在を視覚障がい者の方々に多く知っていただくことが本来の目的であり、
そして、同行を行うデザイナーがショップ店員との架け橋となり、
お客様がご希望される品を見つけられる手助けをします。それは近い将来、ショップ店員の視覚障がい者への対応力向上にもつなげられると考えます。

ー モニター体験のプログラム ー

2021年9月18日
オンライン会議システムzoomを利用して、【オンラインコーデ代行サービス】の第一段階におけるヒアリングを実施。
(実施時間:約1時間ほど)

それでは、ヒアリングについて、受けられたご本人に聞いてみましょう。

 手持ちのアイテムと組み合わせて着られるものと、コーディネートを格上げしてくれる小物や靴などのご提案をお願いしました。
ヒアリングは、ファッションの好みなどを細かく聞かれるのかと思いきや、
*平日と休日のルーティーンは?

*すり減った心のパワーチャージ方法は?
*自分の魅力を一言で言うなら?
など、ファッションだけにとどまらず、生活習慣や、体や心の状態を問われる質問もあり、改めて自分と向き合うきっかけと気づきをいただけた時間でした。自分の魅力を、自ら口にすることなど、なかなかないですからね (笑)!
お友達との女子トークのようなヒアリングで、デザイナーさんとの距離がぐっと近くなったような気がしました。

9月20日
3つのコーディネート案をメールにて提出。
1回目のヒアリングをもとにお客様のニーズを考えた3タイプのコーディネートをご提案させていただきました。
この際、ポイントとしたことは、お客様が既にお持ちの洋服に合わせたコーディネートをご希望されていたので、いくつかご提示された服、それぞれに着回しの利くものを選んだことと、現在のお客様と2~3年後のお客様を想像し、お客様ご自身が望む将来像を見通せるコーディネートをご提案しました。

9月27日
最終コーディネートのご提案をオンラインで実施。
上記のコーディネート案とお客様のご意見等フィードバックをもとに最終案を再度オンラインにて行いました。

では、こちらでも、ご本人に最初の提案と最終提案についてご希望に添えたかなどお聞きしたいと思います。

 今回の目的の一つに、新しい、ファッションと自分との出会いを見つけるというものがありました。
これまでは、華やかな色や、かわいい系のデザインの物を身に着けてきたのですが、最近なんとなく違和感を感じていました。
鏡で自分の姿を確認することができない私にとって、第三者からのコメントが私の鏡となります。
最初にも書きましたが、娘とは世代ギャップがあるので、40代のファッションに適切なアドバイスをもらうのは難しいと感じていましたし、店員さんからは率直なコメントをいただけることはあまりないですから、ファッションの専門家の方からのご提案ということで、とても楽しみでした。
しかし、ご提案のメールを読み始めたときは、正直あまりピンときませんでした。
カーゴパンツにタートルのニットとジャケットを合わせるのは、私でも思いつきそうだけど、これのどこに素敵ポイントが潜んでいるの?
いくら何でもちょっと地味すぎでは?とも思いました。
でも、読み進めていくと、ニットの色選びのポイント(肌なじみや使い勝手など)や、カーディガンのボタンを閉じて、インナーとしても着られるなどの小技がたくさん書かれていて、最初の印象とは裏腹に、目からうろこがぽろぽろ落ちました。
スカーフや靴などのアクセント小物のエッセンスもきちんと説明が書かれてあり、新しいアイテムに挑戦してみたいという気持ちもわきました。スカーフなどは、上手に使うとすごく素敵になるけど、使い方を間違えてしまうと…? みたいになるのではと、私にとってはハードルの高いアイテムだったんです。
ヒアリングの時に、若干の化繊アレルギーがあることをお伝えしたのですが、それを考慮して、カシミヤやシルクなどの素材をご提案いただけたのもありがたかったです。
すべての商品のECサイトのリンクを掲載していただいていたので、じっくり確認して、欲しいものを熟慮することもできましたし、悩むこともまた楽しいという、お買い物の醍醐味を満喫でき、大満足でした。



ご感想有難うございます。メールに添付致しました、各商品のECサイトは同じ商品をいくつかのECサイトで販売されているケースが多くありますので、その中から視覚障がい者の方々にとって情報量が豊富となるように、テキストによる商品説明が多いECサイトを見つけ出し、ご案内をさせていただきました。

そして、今回はオンラインコーデ代行サービスのみならず、買い物同行サービスも体験していただくフルコースとなりましたので、実店舗でのお買い物は上記のご提案をもとに、webを介したお買い物では不都合の多い、靴や試着が必要であるメインの洋服などを店舗に出向き、実際に手に取ってみることとなりました。

10月5日
【お買い物同行サービス】を実施。

コーディネート案にあったブーツとワンピース2点を実際に試着してみるため、新宿駅周辺の商業施設を中心に2時間ほどかけてめぐりました。
ポイントとして、リストにあった商品は事前にデザイナーが店舗に出向き、商品の在庫状況と商品詳細を確認済みで行いました。

実際に試着等を行い、お客様からのご要望で、同じようなデザインのものをファストファッションを利用してみたいとのことから、予定外ではありましたが、ファストファッションの店舗へも同行を致しました。

結果としまして、当初のご提案通りのものをご希望されたので、再度最初の店舗へと向かいご購入手続きとなりました。

ファストファッションへ向かう道すがら、今回のお買い物リストにはなかったものの、ヒアリングを通して知り得た情報をもとにお客様が必要とされそうな生活雑貨を扱う店舗にもご一緒に同行し、お買い物をアシストしました。

では、最後にモニター体験を終えたご本人に同行サービスを受けられたご感想などをお聞きしてみましょう。

 コロナ禍で外出の機会が少なくなっていたので、本当に久々のリアル店舗でのショッピングにとてもワクワクしました。それも、ファッションのプロの方にご一緒していただいてのショッピング!
目的のショップがある駅改札で待ち合わせをしていただき、お店に向かいました。
この日はショートブーツとシャツワンピースの試着が目的でした。
ブーツは履き心地もよく、チャンキーヒールで歩きやすく、外反母趾の私にもしっくり来ましたので、購入を決めました。
でも、お買い物の間、大きなブーツの箱を持ち歩くのは大変なので、帰宅後webで購入することにしました。
リアルとオンラインが組み合わせられるのは、こういう点においても便利ですね。
 ワンピースは、ファストファッションの物と触り比べてみましたが、最初にご提案いただいたものが肌触りも着心地もよく気に入ったので、初めてシャツワンピースを購入しました。
かなり薄手の生地(シフォン)なので、着られる時期が短いのでは?という質問にたいして、インナーに合わせるとよいニットなど、お店にあるものを触らせていただきつつ、着回し方法やプラスするとよい小物などのアドバイスもいただきました。
 後日、今回ご提案いただいたコーディネートで出かけましたが、私のことをよく知る友人から
「なんか雰囲気が変わったね!すごく鮮やかな色で、顔色が明るく見えて素敵!」と言ってもらって、とてもうれしかったです。
身近な人に褒めてもらえるのは大変うれしいことですよね。
 お買い物当日、番外編として生活雑貨のお店と、全国のこだわり食材を取り扱うお店にもご一緒していただきました。
私は日頃、見えなくて残念だなあと思うことの一つに、ウインドーショッピングが難しいということがあります。
輸入食材のお店をふらっと見て回り、あ、こんなものがあるんだ!と、どこかの国のお菓子を買ってみるとか、駅ビルをうろうろして、なんとなく入ったお店がとても自分好みなことを発見してしまったというようなワクワクが私はしたいとずっと思っています。
目的の物が決まっていて、それを買いに行くことは、視覚障がい者にとってそれほど難しくはないのですが、なんとなく見て回るとか、たくさんあるものの中から自分好みのものなどを見つけることはとても難しいのです。
webでのお買い物はとても便利ですが、やはり自分の手で触れて商品を選ぶ安心感と喜びは格別です。
 雑貨や食材なども、こんなものがありますよとか、パッケージがかわいいので触ってみてくださいなど、たくさんの目からの情報を教えていただき、本当に楽しくて、ついつい色々と買ってしまい、お財布は軽くなりましたが、心のパワーチャージは満タンになりました。
 今回のサービスを受けて感じたことは、オンラインとリアルショッピングを組み合わせられるというのがとても良いと思いました。
私はフルコースを体験させていただきましたが、オンラインだけでも十分に活用できるサービスです。
web上の膨大な商品の中から目的の物を探すのは大変ですし、写真のみの商品説明では全くどんなものかも分かりません。
そして、コーディネートとなると、やはりプロの力をお借りできると、実際に商品に触ることができないとしても安心感が増しますよね。
自力で読むことが難しいライフスタイルマガジンのページを、実際に体験しながらパラパラめくるようなこの感覚。
友人や家族とのショッピングはもちろん楽しいけれど、このようなサービスを利用すると、これまでとは一味違う素敵なものたちとの出会いがあるのだと気づきました。
 “見えない”、“見えにくい” 皆さん。
自分に似合う新たなファッションとの出会いと、今日より素敵な自分に出会う未来への扉を開けるワクワクを、ぜひ体験してみませんか?
目が見えなくても、いくつになっても素敵女子でありたいですよね。
萬LINKさんが力になってくれます。
最後になりましたが、素敵な企画と心躍る体験を提供してくださった萬LINK代表、古本舞さんに心より感謝申し上げます。

以上がこの度のファッションコーディネートサービスモニターレポートとなります。
澤田さんお疲れ様でした。そして有難うございます。
ショッピング後日談として、ご友人からコーディネートに好評価を頂いたというお話を聞かせていただき、何よりも嬉しいエピソードだと感じました。それは、青眼者が視覚障がい者に対して、ファッションアドバイスをすることはできますが、視覚障がい者の方から青眼者に対して、このお店にはこんな素敵なものが売っていたよ。であったり、この色はあなたもきっと似合うはずよ!なんていう会話が成立し、日常的に気兼ねなくウィンドーショッピングを楽しむ社会がたとえ遠い未来であったとしても、確実にやってくる日を想像して止まないからです。そしてそんな未来を強く願っています。

詳しいサービス内容につきましては、以下のURLをクリックしてご確認ください。
ご不明な点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

視覚障がい者のためのお買い物同行サービス